こんにちは、M&Aアドバイザーの松金です。
今回は、M&A仲介会社や金融機関などから買収案件を紹介された経営者の方に向けて、初期検討で確認しておきたいポイントを整理します。
「御社に合いそうな会社があります」と案件を紹介され、資料を見ると売上や利益は悪くない。自社との事業上の接点もありそうです。
ところが、実際に検討を始めると、
「この会社を本当に買うべきなのか」
「提示されている価格をどう考えればよいのか」
「次に何を確認すればよいのか」
という疑問が出てきます。
特に、社内にM&A専任の担当者がいない中小・中堅企業では、仲介会社から受け取った資料を経営者自身が読み、限られた情報から次に進むかどうかを判断しなければならないケースも少なくありません。
この段階で大切なのは、対象会社が一般的に「良い会社か」を評価することではありません。
「自社がこの会社を買う理由があるのか」を考えることです。
この記事では、私が買い手側で案件を検討するときの考え方に沿って、案件を受け取った直後の見方から、初期検討で確認したい10項目、次のステップへ進む際の考え方まで解説します。
この記事でわかること
- M&A案件を紹介されたとき、最初に何を見るか
- 「次に進む・見送る」をどう考えるか
- 初期検討で陥りやすい判断ミス
- 情報が足りないとき、次に何を確認すればよいか
会社買収そのものの流れから確認したい方は、「初めての会社買収」もあわせてご覧ください。
案件が届いたら、まず「次に進む価値があるか」を考える
M&A案件では、最初から対象会社のすべての情報が開示されるわけではありません。
まず会社名を伏せたノンネーム情報が提示され、興味があれば秘密保持契約を締結し、その後、企業概要書(IM)などの詳しい資料を確認していくケースが一般的です。
ここで意識しておきたいのは、初期検討の目的です。
この段階で判断したいのは、「さらに時間とコストをかけて検討する価値がある案件なのか」という点です。
自社の買収方針から明らかに外れていれば、この段階で見送ることもできます。一方、現時点では判断できない重要事項があるのであれば、それを整理したうえで、追加資料の確認やトップ面談など次のステップへ進みます。
STEP 1 案件の概要を把握する
ノンネームシートや企業概要書から、事業内容、規模、収益、希望条件などを確認します。
STEP 2 自社の買収方針と照らし合わせる
自社が会社を買う目的や投資可能額と、大きくずれていないかを確認します。
STEP 3 分からないことを整理する
不足している情報や確認したい事項を整理し、仲介会社などを通じて追加確認します。
STEP 4 次に進むか、見送るかを判断する
必要に応じてトップ面談など次のステップへ進みます。
案件資料を読んで分からないことが残っているのは、珍しいことではありません。
大切なのは、分からないことをそのままにせず、「現時点で何が分かっていて、次に何を確認する必要があるのか」を整理することです。
案件資料を受け取ったら、最初に何を見るか
企業概要書などが届くと、売上、利益、希望譲渡価格など、目につきやすい数字から見てしまいがちです。
しかし、私が最初に確認したいのは、「この会社は良さそうか」ではなく、「この案件を検討する前提が自社にあるか」です。
例えば、利益がしっかり出ている会社でも、自社が買収する目的と合っていなければ、買う理由は弱くなります。
逆に、現時点の利益がそれほど大きくなくても、自社が欲しい顧客基盤、人材、技術、商圏などを持っているのであれば、詳しく検討する意味があるかもしれません。
また、希望譲渡価格が自社の想定より高いからといって、それだけで見送る必要があるとも限りません。
売り手の希望価格はあくまで希望であり、実際にどの条件で取引するかは、その後の検討や交渉によって変わる可能性があります。
反対に、価格が安く見える案件でも、売り手経営者への依存が非常に大きい、主要顧客との取引継続に不安がある、買収後の経営体制を描けないのであれば、慎重に考える必要があります。
つまり、案件資料を最初に読むときは、数字を細かく分析する前に、
「自社がこの会社を買う理由があるか」
「買収後も事業が成り立つイメージを持てるか」
「この段階で検討を止めるほど大きな違和感がないか」
を確認します。
この3点に大きな問題がなければ、そこから売上や利益の中身、顧客構成、経営者依存、価格、買収後の体制などを掘り下げていきます。
初期検討では、案件の魅力を探すことよりも、「次に何を確認しなければ判断できないか」を見つけることの方が重要です。
その視点で、次の10項目を確認していきます。
M&A案件を紹介されたら確認したい10項目
1.この会社を買う目的を、具体的に説明できるか
初期検討では、対象会社の魅力を並べるだけでなく、「なぜ自社がこの会社を買うのか」を具体的に説明できる状態にしておくことが重要です。
例えば、「同業だから相性が良さそう」というだけでは、買収目的としてはまだ曖昧です。
既存顧客に新しいサービスを提供したいのか。人材を確保したいのか。自社がまだ持っていない地域の顧客基盤を取得したいのか。あるいは、新規事業へ参入するための足掛かりにしたいのか。
目的が具体的になれば、対象会社のどこを重点的に確認すべきかも変わります。
反対に、案件の説明を聞くたびに買収目的そのものが変わっていくのであれば、一度自社の買収方針に立ち戻った方がよいでしょう。
2.何によって売上と利益を生み出している会社なのか
例えば、売上5億円、営業利益5,000万円の会社を紹介されたとします。
数字だけを見れば、収益性のある会社に見えます。
しかし、買い手として確認したいのは、利益率が何%かということだけではありません。
その5,000万円の利益が、何によって生まれているのか。
ここを見ます。
特定の大口顧客から毎年安定して受注しているのかもしれません。売り手社長自身が営業して案件を取っているのかもしれません。一時的な大型案件によって利益が押し上げられている可能性もあります。
また、本来必要な採用や設備投資を先送りしているため、一時的に利益が多く出ているケースも考えられます。
同じ「営業利益5,000万円」でも、その中身によって買収後の収益力は大きく変わります。
財務数字を見るときは、その数字が生まれている理由まで確認することが重要です。
3.その売上・利益は買収後も続くのか
過去3年間黒字だからといって、買収後も同じ利益が続くとは限りません。
私なら、「この売上は誰が作っているのか」を確認します。
例えば、売上上位の顧客を売り手社長自身が担当している場合、社長の退任後も取引が継続するのかを考える必要があります。
担当者同士で関係ができているのか。顧客との関係が会社に帰属しているのか。それとも、売り手社長個人の信用に大きく依存しているのか。
こうした点を確認していくと、決算書だけでは見えなかった「買収後に失われる可能性のある売上」が見えてくることがあります。
見るべきなのは、過去にいくら利益を出したかだけではありません。
その利益が、オーナーが変わった後にも残るのか。
ここまで考える必要があります。
4.特定の顧客や取引先に依存していないか
中小企業では、特定の大口顧客が売上の大きな割合を占めていることがあります。
例えば、売上5億円のうち2億円を1社が占めているのであれば、その取引がなくなった場合の影響はかなり大きくなります。
ただし、「1社への依存度が高いから買わない」と機械的に判断するわけではありません。
長期間安定して取引しているのか。契約関係はどうなっているのか。買収によって取引条件や関係性が変化する可能性はないか。
そこまで確認したうえで、リスクを許容できるかを判断します。
仕入先についても同じです。
重要なのは、依存があるかないかだけではなく、その依存関係が崩れた場合に、会社の業績へどの程度の影響が出るのかを把握することです。
5.売り手経営者やキーマンが抜けても会社が回るか
中小企業のM&Aでは、特に重要な確認ポイントです。
売り手社長が営業の中心であり、技術判断も行い、重要顧客との関係もすべて担っている会社は珍しくありません。
この場合、決算書上は利益が出ていても、社長が退任した後に同じ事業運営ができるとは限りません。
そこで、社内に事業を引き継げる人材がいるのか、重要なキーマンは誰なのか、買収後も勤務を続ける可能性が高いのかを確認します。
ただし、社長依存があるからといって、それだけで買収対象外になるわけではありません。
例えば、買収後6か月から1年程度の引継ぎをお願いできるのか。社内の後継候補に徐々に業務を移せるのか。買い手側から経営人材を送り込めるのか。
対応策まで含めて判断します。
会社そのものに価値がある部分と、売り手経営者個人に依存している部分を分けて見る。
これは中小企業を買収するときに非常に重要です。
6.なぜ、この会社を売るのか
売却理由についても確認します。
後継者不在、経営者の高齢化、別事業への集中、より大きな企業との連携など、会社を譲渡する理由はさまざまです。
ここで売り手を疑ってかかる必要はありません。
ただし、会社の現状と売却理由を並べて見たときに、自分なりに納得できる説明になっているかは確認した方がよいでしょう。
例えば、「業績は好調で、この先も大きく成長する」という説明がある一方で、経営者も若く後継者問題もないのであれば、「なぜ今売却するのだろう」という疑問は自然に生じます。
この段階で答えが分からなくても構いません。
疑問として残ったのであれば、トップ面談などで直接確認するテーマになります。
7.希望譲渡価格は何を前提にしているのか
案件資料に「希望譲渡価格3億円」と書いてあると、どうしても最初に「3億円は高いのか、安いのか」を考えたくなります。
しかし、私ならその前に確認することがあります。
現在の利益水準はどの程度続くと考えられるのか。買収後に設備投資や人員補強が必要なのか。借入で取得するのであれば、返済を無理なく続けられるのか。
こうした点を整理したうえで、初めて自社として払える価格を考えます。
「対象会社にいくらの価値があるか」と「自社がいくらまでなら払えるか」は、必ずしも同じではありません。
売り手の希望価格が3億円だからといって、買い手側も3億円を前提に考える必要はありません。
自社にとって投資として成立する価格を考え、その結果として売り手側の希望価格との間にどの程度の差があるのかを見ていきます。
買収価格を判断する際の考え方については、
「M&Aの買収価格はどう判断する?『企業価値』と『自社が払える価格』は違う」
で詳しく解説しています。
8.買収価格以外に、いくら必要になるのか
会社買収に必要なお金は、株式の取得代金だけではありません。
買収後に設備更新が必要になることもあります。人材採用、システム統合、営業拠点の整備が必要になる場合もあります。
さらに、デューデリジェンスや弁護士・会計士などの専門家費用も考えておく必要があります。
例えば、株式を2億円で取得する案件だからといって、2億円を用意すれば買収後まで問題なく進められるとは限りません。
私は、株式取得価格だけではなく、買収後しばらくの期間に必要となる資金まで含めて考えることをおすすめしています。
特に借入を利用する場合は、取得時に資金調達できるかだけでなく、買収後のキャッシュフローから返済を継続できるかという視点が重要です。
9.買収した翌日から、誰が経営するのか
初めて会社を買うときほど、クロージングまでの手続きに意識が向きがちです。
しかし、買収後はすぐに会社経営が始まります。
誰が社長になるのか。従業員への説明は誰が行うのか。主要顧客には誰が挨拶するのか。売り手経営者にはどのくらいの期間、引継ぎに関与してもらうのか。
ここを「買収してから考える」とすると、買収後の負担が想定以上に大きくなることがあります。
案件を検討している段階から、
「この会社を買った場合、翌日から自社はどう経営するのか」
をできるだけ具体的にイメージしてみてください。
買収後の体制を全く描けない案件であれば、価格や条件の検討より先に、その点を整理した方がよいでしょう。
10.「この条件なら見送る」を決められるか
M&Aでは、「どんな会社なら買いたいか」だけでなく、「どの条件になったら見送るか」も重要です。
例えば、買収後に必要なキーマンが退職することが分かった場合。主要顧客との取引継続に大きな不確実性がある場合。想定していた総投資額を大きく超える場合。
こうした条件を事前にある程度決めておくと、案件検討が進んだ後でも冷静に判断しやすくなります。
逆に、撤退条件を決めないまま検討を続けると、
「ここまで時間をかけたのだから」
「あと少し条件を変えれば買えるのではないか」
という心理が働きやすくなります。
M&Aでは、良い会社を見つける能力だけでなく、自社に合わない案件を適切なタイミングで見送る判断も重要です。
案件初期検討チェック表
ここまでの内容を、紹介された案件に当てはめて整理してみましょう。
「不明」があること自体は問題ではありません。むしろ、不明な項目を明確にすることで、次に何を確認すべきかが見えてきます。
横にスクロールできます。
| 確認項目 | ○ | △ | × | 不明 |
|---|---|---|---|---|
| ① 自社が買収する目的と合っている | □ | □ | □ | □ |
| ② 売上・利益が生まれる仕組みを理解できる | □ | □ | □ | □ |
| ③ 買収後も利益が継続する可能性がある | □ | □ | □ | □ |
| ④ 顧客・仕入先への依存を把握している | □ | □ | □ | □ |
| ⑤ 経営者・キーマンへの依存を把握している | □ | □ | □ | □ |
| ⑥ 売却理由を合理的に理解できる | □ | □ | □ | □ |
| ⑦ 希望譲渡価格を検討する前提が整理できている | □ | □ | □ | □ |
| ⑧ 買収後まで含めた必要資金を想定できる | □ | □ | □ | □ |
| ⑨ 買収後の経営体制を想定できる | □ | □ | □ | □ |
| ⑩ 見送る条件がある程度明確になっている | □ | □ | □ | □ |
POINT
「○」が多ければ良い案件という意味ではありません。初期検討で大切なのは、現時点で分かっていることと、まだ確認できていないことを区別することです。
初期検討でやりがちな3つの判断ミス
案件の評価項目と同じくらい、注意しておきたいのが「どう判断するか」です。
初めて会社を買収する場合、特に次のような判断になりやすいので注意が必要です。
利益が出ているから「良い会社」と考える
利益が出ていることは重要です。
ただし、その利益が買収後も残るかどうかは別の問題です。
売り手経営者の個人的な営業力による利益なのか、特定顧客に依存しているのか、本来必要な投資を先送りしている結果なのか。
現在の利益額だけでなく、「なぜその利益が出ているのか」を見る必要があります。
希望譲渡価格から先に考える
「3億円なら高い」「1億円なら安い」と価格から案件を評価すると、自社がその会社を買う意味を見失いやすくなります。
先に考えたいのは、買収によって何を得るのか、買収後にどの程度の収益が期待できるのか、追加投資はいくら必要なのかという点です。
価格は、その後に検討します。
買収後のシナジーを楽観的に見積もる
M&Aでは、「自社の顧客に対象会社の商品を販売できる」「仕入れを一本化すればコストを下げられる」など、買収後のシナジーを期待することがあります。
もちろん、シナジーは買収を検討する重要な理由になります。
ただし、検討段階では、まだ実現していない効果を確実なものとして価格や収益計画に織り込まないことが大切です。
実際に誰が営業するのか。既存顧客は新しい商品を購入してくれるのか。システムや組織を統合するために、逆にコストがかからないのか。
シナジーは「あるはず」と考えるのではなく、「どうすれば実現できるのか」まで具体化して検討します。
不明点は「リスク」ではなく「確認事項」として整理する
初期段階では、案件資料だけで判断できない事項が残るのが通常です。
売り手経営者が退任した後も顧客との取引が続くのか、キーマンが買収後も勤務するのか、主要顧客との関係がどの程度強いのか。こうした点は、追加資料やトップ面談などを通じて確認していきます。
ここで重要なのは、分からないことを直ちに「リスク」と評価するのではなく、まず「確認すべき事項」として整理することです。
確認した結果、実際に問題があると分かれば、その影響や対応策を検討します。
初期検討では、「問題があるかどうか」だけでなく、「次の判断に必要な情報は何か」を整理する視点が重要です。
すでに具体的な買収案件を検討している方へ
仲介会社などから案件を紹介されているものの、「検討を続けてよいのか分からない」「何を追加で確認すべきか整理できない」「提示された価格をどう考えればよいか迷っている」という段階から、買い手企業の立場で検討事項を整理する支援を行っています。
トップ面談に進むかどうかはどう判断する?
初期検討の段階で判断したいのは、「次の検討に進む意味があるか」です。
横にスクロールできます。
| 現在の状態 | 考えられる対応 |
|---|---|
| 買収目的と明らかに合わない | 見送りを検討する |
| 投資可能額を大きく超えている | 見送りまたは条件面を確認する |
| 興味はあるが重要情報が不足している | 追加情報を確認する |
| 経営者・キーマンへの依存度が分からない | トップ面談などで確認する |
| 自社との事業上の相性が期待できる | 検討を継続する |
| 大きな懸念がなく、さらに確認する価値がある | トップ面談など次の段階へ進む |
トップ面談は、単なる売り手経営者との「顔合わせ」ではありません。
買い手にとっては、資料だけでは確認できない部分を直接確かめる重要な機会です。
私は特に、売却を考えた背景、主要顧客との関係、社長が退任した後の経営体制、社内のキーマン、買収後の引継ぎについて売り手経営者がどのように考えているのかを確認したいと考えます。
初回のトップ面談で、デューデリジェンスのように細かく確認する必要はありません。
一方で、「この経営者が抜けた後の会社を、自社で経営していけるのか」という視点を持ちながら話を聞くことは大切です。
トップ面談では、資料だけでは分からなかった点を確認し、次の検討に進むための判断材料を増やしていきます。
トップ面談で何を聞くか、面談前にどのような仮説を持っておくかについては、
「M&Aのトップ面談で買い手が聞くべき質問|確認したいポイントと質問例」
で詳しく解説しています。
初期検討の後は、どのように買収検討が進むのか
初期検討を通過したからといって、そのまま買収契約に進むわけではありません。
案件によって順番や進め方は異なりますが、一般的にはトップ面談や追加資料の確認を行い、その後、意向表明書(LOI)、デューデリジェンス、最終条件の交渉、契約へと進んでいきます。
検討が進めば、対象会社について分かる情報は増えていきます。
一方で、社内で検討に使う時間も増え、デューデリジェンスなどを実施すれば専門家費用も発生します。
だからこそ、初期段階で、
「この案件は、次の段階に時間と費用をかける価値があるのか」
を判断する意味があります。
また、買収検討は一度判断したら終わりではありません。
トップ面談で聞いた内容、追加資料、デューデリジェンスの結果など、新しい情報が得られるたびに、買収する理由や許容できる条件を見直していきます。
M&Aは、最後まで「買う・見送る」を繰り返し判断していくプロセスと考えると分かりやすいでしょう。
仲介会社から紹介された案件は、誰に相談すればよいのか
初めて会社を買収する経営者にとって、意外に難しいのが「誰に相談するか」です。
税務であれば税理士、契約や法務であれば弁護士など、それぞれの分野の専門家に相談できます。
もちろん、仲介会社から紹介された案件について、仲介会社に相談してはいけないということではありません。
追加資料の依頼、売り手への質問、トップ面談の日程調整、条件面のやり取りなど、仲介会社は案件を進めるうえで重要な窓口になります。
ただし、仲介会社は売り手・買い手双方の間に立ってM&Aを支援するため、買い手企業だけの立場から判断を支援する役割とは異なります。
そのため、買い手企業としては、仲介会社から得られる情報や助言を活用しながらも、「この案件を自社として進めるべきか」「どこまでの価格や条件を許容するのか」という自社側の判断を整理していくことが重要です。
デューデリジェンスで問題が見つかった場合、そのリスクをどこまで受け入れるのか。条件交渉では何を優先するのか。買収後の経営まで考えたとき、本当にこの案件を進めるべきなのか。
これらは、最終的には買い手企業自身の経営判断です。
社内にM&A経験のある担当者がいない場合、「買い手側の判断を誰と整理するのか」が課題になることがあります。
買い手FA(フィナンシャル・アドバイザー)は、買い手企業から依頼を受け、案件の初期検討、買収価格・取引条件の検討や条件交渉の支援、デューデリジェンスへの対応、契約・クロージングに向けた実務を買い手側の立場から支援します。
M&Aの相談先ごとの役割を詳しく比較したい方は、「M&Aで会社を買いたい経営者は誰に相談すべき?税理士・銀行・M&A仲介会社・買い手FAの役割の違い」も参考にしてください。
まとめ|「良い案件か」ではなく「自社が買うべき案件か」を考える
M&A仲介会社から案件を紹介されると、売上、利益、希望譲渡価格などの数字に目が向きやすくなります。
もちろん、これらは重要な情報です。
しかし、会社買収で本当に考えるべきなのは、その会社が一般的に良い会社かどうかではありません。
自社がその会社を買う理由があり、買収後も事業を維持・発展させられるのか。
ここを考えることが重要です。
初期段階ですべての情報が揃っている必要はありません。
何が分かっているのか。何がまだ分かっていないのか。次に何を確認すれば、もう一段判断できるのか。
そして、新しい情報が出るたびに、「それでも自社がこの会社を買う意味があるのか」を確認します。
一つずつ整理しながら、検討を続けるか、見送るかを判断していきます。
会社買収について、判断に迷っている経営者の方へ
仲介会社から案件を紹介されたものの、「この案件を検討し続けてよいのか」「何を追加で確認すべきか」「価格や条件をどう考えればよいのか」と迷っている段階からご相談いただけます。
弊社では、専任のM&A担当者を置いていない中小・中堅企業を中心に、買い手企業の立場から会社買収を支援しています。
買収を成立させることを前提とせず、案件ごとに確認すべき事項やリスクを整理し、買収判断に必要な検討をサポートします。
※本記事は一般的なM&Aの検討ポイントを解説しています。実際の案件では、必要に応じて法務・税務・会計などの専門家によるデューデリジェンスを行い、その結果も踏まえて買収判断を進めます。
